【狭き門 (アンドレ・ジッド著)】
今年は雪がよく降る1月中旬。
去年の春に読んだ本を思い出した。
こんなあらすじの物語
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物語の語り手であり主人公でもあるジェロームは、2歳年上の従姉であるアリサに恋心を抱く。アリサもまたジェロームを愛しているが、周囲の人々も両者が結ばれることに好意的であるにもかかわらず、結婚をためらう。神の国に憧れを持つ彼女は、最終的に地上での幸福を放棄し、ジェロームとの結婚をあきらめ、ついには命を落とす。
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変な先入観さえなければ、そんなに長い話ではないので1日もあれば読み返すところまで可能だろう。
ジェロームの幼少期から始まり、ジェロームの叔父の家にてアリサと出会う。アリサは母親の不倫によって男女の関係を悪いものだと思うようになり、ジェロームへの愛をすべて神に向けることになる。
物語にはアリサの妹、ジュリエットが対比的な存在として登場する。ただ、恋愛に関してはアリサよりも純粋だったかもしれない。アリサ同様、ジェロームへ恋心を抱き、ジェロームの話す外国語を聴いているだけで理解できるくらいに熱中していた。それでも姉の恋愛を心から応援し、自分は別の男性と結婚するのだ。
自己犠牲からではなく、自分から幸せをつかみにいった。これはジャンセニストなジェロームとアリサにはできなかった。幸せになることを拒み、神の国へ行くことしか救いを見いだせなかったアリサは、日記だけを残して孤独に隠れた。
わたしは解放と自由をこの物語のテーマとして捉えているが、それはジェロームとアリサのどちらにもなかったものだとも捉えている。
ジェロームはアリサの想いを尊重するあまり肝心なところで想いを伝えきれず自分に行動制限をかけ続ける、アリサはこの世に生をなした罪の中では自己犠牲こそが信仰だという思念に縛られ続けた。そして、自分の生きる道を自ら選んだジュリエットは相応な幸せをつかんだ。
著者であるアンドレ・ジッドはヨーロッパの厳格なキリスト教の教えに対して宗教からの解放を訴えていたため、著作物がローマ教皇庁によって禁書となっていた。
また、彼には妻があったが同性愛的性向でもあったため一度も性交渉をしていないとの話も残っているらしい。そのせいか、物語の中には、ジェロームの母親然り、アリサの母親然り、母性というものが全く感じられない。
叶わぬ想いを描いた恋愛小説に終わらない奥深さ。
なにごとも過剰すぎると毒になり自分を蝕まれていくということ。
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狭い門から入りなさい。滅びに至る門は大きく、その道は広いからです。そして、そこから入って行く者が多いのです。(新約聖書 マタイの福音書7章13節)
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